広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.203『新装版 ペーパームービー』内田也哉子/朝日出版社
蔦屋書店・竺原のオススメ『新装版 ペーパームービー』内田也哉子/朝日出版社
内田也哉子さんと言えば樹木希林さんと内田裕也さん間に一人娘として生まれ、19歳で本木雅弘さんと結婚し、現在三児の母でいらっしゃると同時に、エッセイ/翻訳/作詞/ナレーションや音楽ユニット「sighboat(サイボート)」でも活動されている、非常に多彩な方である。
作家としても多くの著作を世に出されていて、マーガレット・ワイズ・ブラウンの『The Important Book(日本語題『たいせつなこと』)』をうちだややこ名義で翻訳されていたり、あるいは脳科学者として著名な中野信子さんとの共著で『なんで家族を続けるの?』を出版されていたりする。
本作はタイトルに新装版とある通り、元々1996年に出版されていたものの復刊という事になる。
基本的にはオリジナルを踏襲しているが、まえがきとあとがきが新装版復刊に際して追記されている格好だ。
また装幀にも少しの違いがある。
オリジナルの方は表紙が濃い赤色だったのに対し、新装版の方は乙女色かあるいは桃花色と形容出来る様な淡い色味なのだが、何だかその1996年から2021年現在の間に内田さんが経て来た色々な出来事や、それを受けて変化した内田さんの内面がリンクして現れているのかなと感じたりもする(内田さんが結婚されたのが1995年7月で、オリジナルが出版されたのが1996年2月である事を考えると、オリジナルが出版されたのは結婚後間もないタイミングであった事がわかる)。
カバーを外すと出て来る本体の表紙は(恐らく)オリジナルと同じ濃い赤色である点が、
この事を暗に示しているのかとさえ感じられる。
基本的にはオリジナルを踏襲しているが、まえがきとあとがきが新装版復刊に際して追記されている格好だ。
また装幀にも少しの違いがある。
オリジナルの方は表紙が濃い赤色だったのに対し、新装版の方は乙女色かあるいは桃花色と形容出来る様な淡い色味なのだが、何だかその1996年から2021年現在の間に内田さんが経て来た色々な出来事や、それを受けて変化した内田さんの内面がリンクして現れているのかなと感じたりもする(内田さんが結婚されたのが1995年7月で、オリジナルが出版されたのが1996年2月である事を考えると、オリジナルが出版されたのは結婚後間もないタイミングであった事がわかる)。
カバーを外すと出て来る本体の表紙は(恐らく)オリジナルと同じ濃い赤色である点が、
この事を暗に示しているのかとさえ感じられる。
本文は、9歳の時に1年間だけニューヨークへ留学をしに行く所から、主に時系列で進行する。
これまでの人生で巡り合って来た人々と、その人々が自分にもたらしてくれた何か、そしてその何かがもたらされるに至る過程がストーリーとして展開させる。
人に何かをもたらすという行為は、基本的には愛が根本に存在する事であると思う。
そう考えると、この本は「愛」について記された一冊であるとも言えるのではないだろうか。
これまでの人生で巡り合って来た人々と、その人々が自分にもたらしてくれた何か、そしてその何かがもたらされるに至る過程がストーリーとして展開させる。
人に何かをもたらすという行為は、基本的には愛が根本に存在する事であると思う。
そう考えると、この本は「愛」について記された一冊であるとも言えるのではないだろうか。
新装版の前書きに
“むかし、むかし、大人になりかけの少女が、手紙を書きました。”
“むかし、むかし、大人になりかけの少女が、手紙を書きました。”
中略
“そうです。あなたが今、手に取っているのは、その長い漂流の旅から舞い戻った手紙なのです。“
という文章がある。
本作は、勿論我々読者にとっての一冊であると共に、内田さん本人に対しても向けられた作品であるのだろう。
四半世紀を過ぎて舞い戻って来た自身の言葉を今の内田さんはどう感じ、どう捉えるのか。
それは巻末の「三度目の後書き」に記されている。
という文章がある。
本作は、勿論我々読者にとっての一冊であると共に、内田さん本人に対しても向けられた作品であるのだろう。
四半世紀を過ぎて舞い戻って来た自身の言葉を今の内田さんはどう感じ、どう捉えるのか。
それは巻末の「三度目の後書き」に記されている。
内田さんの鋭い感性や、様々な事に気付く事が出来る好奇心を存分に味わえる一冊である。
【Vol.151〜Vol.200 2020年11月16日 - 2021年10月25日】
【Vol.101〜Vol.150 2019年12月2日 - 2020年11月9日】
【Vol.51〜Vol.100 2018年12月17日 - 2019年11月25日】
【Vol.1〜Vol.50 2018年1月15日 - 12月10日】
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