江場琳觀 作品

江場琳觀(えばりんかん)は、京都の仏師の流れをくみ、寺院に納める仏像を中心に制作をおこなっています。伝統的なルールに則った仏像を制作する⼀⽅、⾃⾝の作品においては、現代の美意識を反映させた創作にも意欲的に取り組んでいます。  ⻑い時をかけて洗練され、「様式美」となった仏像表現。そこから⼀歩踏み込み、彼ならではの解釈と情感を添えるスタイルは、⼀⾒伝統的であるようでいて、既存の仏像には⾒られない特有の世界観を構築しています。

前回の展示から展開が始まった「球体佛」シリーズは、内部をくり抜いた球体に、透し彫りの窓を開け、内部に仏像を納め、その球体を蓮華座上に安置した江場琳觀のオリジナル作品です。
まるで寺院の堂宇の中にまつられた仏像を小型化したかのような球体佛は、従来のかたくるしい供養の概念から離れ、暮らしの中に馴染む祈りの時間を生み出しています。
その優美な造形は、仏壇をはじめとした供養のための装置のイメージを、「引き継がなければならないもの」から「故人から受け継ぐ美しい贈り物」へと変える可能性を秘めています。

本展では、球体佛のほか、頭に十一の仏面をのせた十一面観音、密教において最高尊格とされる大日如来など新作を含む20点以上の作品を展示します。
現代の仏像表現の新たな可能性を切り拓く仏師 江場琳觀の世界をどうぞご堪能ください。

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