へいじつのよみきかせ~親と子の時間~「自分で食べる」
Kidsコンシェルジュ宮本が提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「自分で食べる」をテーマにお送りします。
涼しい風が気持ちのいい季節になりました。食欲の秋ですね。
今回は、おもに離乳食期から2歳くらいまでの子どもの食事についてお話したいと思います!
離乳食が始まり、親御さんはわが子の成長を感じて嬉しいような、授乳やミルクが楽だったなと感じるような…思いは様々でしょう。
1回食(初期)の5、6か月ごろは、ミルク以外の味を初めて経験するため親御さんが慎重に1口ずつスプーンで与えますね。2回食(中期)も終わりごろになると、片手でスプーンを持ち、もう片方の手で手づかみ食べが始まります。さあ、ここからが大変!
ご飯をにぎにぎして、ポイっ。口にうまく入らなくてボロボロこぼれ…
掃除が大変だからと、親御さんはついついスプーンできれいに食べさせてしまいます。
だって、食事の後の片付けは本当に大変です。新聞紙やレジャーシートを敷いたって、椅子やテーブルもベタベタですから…
私が保育士をしていた頃のエピソードです。もうすぐ1歳(後期食)になるAくんのお話です。
Aくんは、お家では3回の食事をいつもお母さんに食べさせてもらっていました。
保育園の食事は、離乳のすすみ具合に合わせて形状や量を決めています。保育園に入所したばかりの頃、Aくんは食欲旺盛であるにもかかわらず、自分から一切スプーンも食材にも触れようとしませんでした。「食べていいんだよ?」と声をかけても、ずっとニコニコ…
おにぎりやスティック状の野菜など持つと、手につくのが嫌なようです。根気よく付き合いながら食事をしていくと、Aくんは何の躊躇もなく手づかみ食べができるようになり、口や手をごはんだらけにしながら満面の笑みで自ら食事をするようになったんです。
親御さんに話を聞いてみると、やはり食事の後の掃除が大変で、最初から最後まで
食べさせてあげていたとのこと。でもそれは、忙しく子育てに追われ、仕事を持つ親御さんにとってはとても大きな毎日の悩みの1つであり、責めることではありません。だって夜は特に、その後のお風呂に寝かしつけ、授乳など忙しさのクライマックスですから…
手づかみ食べが板についてくると、今度はスプーンを口に運ぶのが上手になります。箸が使えるようになり、食べる量も増え、食事のマナーを学び、いつの間にか1人で上手に食事ができるようになります。ですから、いつまでも親御さんが食べさせてあげてしまうと、
・汚れるのが嫌で、自分から食べようとしない
・少し大きな形状のもの(パン、くし形りんごなど)をかじって食べることができない
・食事の時間が楽しくない
など、せっかく芽生えたやる気をつぶしてしまうことになります。
さらに付け加えると、形状の小さいものばかり摂取していると、前歯、奥歯の使い方を学習できず咀嚼が未熟になり、肉などの硬いものが呑み込みにくくなります。
家族の協力を得ながら、できるだけ掃除を簡単にすませられる工夫をして、子どもの「食べたい」意欲を大事にしてあげたいですね。それが、結果として自立を促すことになり、子育てが楽になる近道なんです!
「でもそんな早いうちから自分で食べさせなくても…」と思われるかもしれません。
このころに経験し芽生えた意欲は、子どもの発達とともに習慣として根付いていきます。
自然に食事に手がのびたら、興味がある証拠。ぜひ、家族みんなで協力して、7か月から2歳くらいまでの「食べたい」意欲を大切に見守ってあげましょう。
でも「いつも」ではしんどくなりますから、2、3回の食事のうち「1回だけ」から始めてみてください。頑張って作った食事を美味しそうに食べる子どもの顔を見ていると、きっと疲れも吹っ飛びます。毎日少しずつでも継続していくと、子どもは食べることの楽しさを知り、食欲へとつながっていきます。
しかし、遊び食べは見逃してはいけませんね。遊び始めたら食事を切り上げるなり、親御さんが介助してあげてください。
今回は「自分で食べる」をテーマにお送りします。
涼しい風が気持ちのいい季節になりました。食欲の秋ですね。
今回は、おもに離乳食期から2歳くらいまでの子どもの食事についてお話したいと思います!
離乳食が始まり、親御さんはわが子の成長を感じて嬉しいような、授乳やミルクが楽だったなと感じるような…思いは様々でしょう。
1回食(初期)の5、6か月ごろは、ミルク以外の味を初めて経験するため親御さんが慎重に1口ずつスプーンで与えますね。2回食(中期)も終わりごろになると、片手でスプーンを持ち、もう片方の手で手づかみ食べが始まります。さあ、ここからが大変!
ご飯をにぎにぎして、ポイっ。口にうまく入らなくてボロボロこぼれ…
掃除が大変だからと、親御さんはついついスプーンできれいに食べさせてしまいます。
だって、食事の後の片付けは本当に大変です。新聞紙やレジャーシートを敷いたって、椅子やテーブルもベタベタですから…
私が保育士をしていた頃のエピソードです。もうすぐ1歳(後期食)になるAくんのお話です。
Aくんは、お家では3回の食事をいつもお母さんに食べさせてもらっていました。
保育園の食事は、離乳のすすみ具合に合わせて形状や量を決めています。保育園に入所したばかりの頃、Aくんは食欲旺盛であるにもかかわらず、自分から一切スプーンも食材にも触れようとしませんでした。「食べていいんだよ?」と声をかけても、ずっとニコニコ…
おにぎりやスティック状の野菜など持つと、手につくのが嫌なようです。根気よく付き合いながら食事をしていくと、Aくんは何の躊躇もなく手づかみ食べができるようになり、口や手をごはんだらけにしながら満面の笑みで自ら食事をするようになったんです。
親御さんに話を聞いてみると、やはり食事の後の掃除が大変で、最初から最後まで
食べさせてあげていたとのこと。でもそれは、忙しく子育てに追われ、仕事を持つ親御さんにとってはとても大きな毎日の悩みの1つであり、責めることではありません。だって夜は特に、その後のお風呂に寝かしつけ、授乳など忙しさのクライマックスですから…
手づかみ食べが板についてくると、今度はスプーンを口に運ぶのが上手になります。箸が使えるようになり、食べる量も増え、食事のマナーを学び、いつの間にか1人で上手に食事ができるようになります。ですから、いつまでも親御さんが食べさせてあげてしまうと、
・汚れるのが嫌で、自分から食べようとしない
・少し大きな形状のもの(パン、くし形りんごなど)をかじって食べることができない
・食事の時間が楽しくない
など、せっかく芽生えたやる気をつぶしてしまうことになります。
さらに付け加えると、形状の小さいものばかり摂取していると、前歯、奥歯の使い方を学習できず咀嚼が未熟になり、肉などの硬いものが呑み込みにくくなります。
家族の協力を得ながら、できるだけ掃除を簡単にすませられる工夫をして、子どもの「食べたい」意欲を大事にしてあげたいですね。それが、結果として自立を促すことになり、子育てが楽になる近道なんです!
「でもそんな早いうちから自分で食べさせなくても…」と思われるかもしれません。
このころに経験し芽生えた意欲は、子どもの発達とともに習慣として根付いていきます。
自然に食事に手がのびたら、興味がある証拠。ぜひ、家族みんなで協力して、7か月から2歳くらいまでの「食べたい」意欲を大切に見守ってあげましょう。
でも「いつも」ではしんどくなりますから、2、3回の食事のうち「1回だけ」から始めてみてください。頑張って作った食事を美味しそうに食べる子どもの顔を見ていると、きっと疲れも吹っ飛びます。毎日少しずつでも継続していくと、子どもは食べることの楽しさを知り、食欲へとつながっていきます。
しかし、遊び食べは見逃してはいけませんね。遊び始めたら食事を切り上げるなり、親御さんが介助してあげてください。
【今月のおすすめ絵本】
『おいし~い』
いしづ ちひろ 作 くわざわ ゆうこ 絵/くもん出版
『おいし~い』
いしづ ちひろ 作 くわざわ ゆうこ 絵/くもん出版
[あらすじ]
おにぎりやスプーン、食器を自分で持って食べています。とってもおいしいね。家族みんなで食べるともっともっと楽しいね!
[読み方ポイント]
モグモグ、ゴクゴク…読んであげる方も口をしっかり動かしながら真似っこを促してあげて。「じぶんでたべてる!すごいねー!」たくさん声かけができる絵本です。
6か月頃~
宮本 陽子(みやもと ようこ)
KIDSコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日2回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。