へいじつのよみきかせ「節分」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「節分」をテーマにお送りします。
 
明けましておめでとうございます。
新しい年が幕をあけました。今年はどんな年になるのでしょう。「あはは」と笑っていられる日が少しでも多くありますように。そして毎日を健康に過ごすこと。元気じゃないのはもったいないです。仕事も家事も子育ても遊ぶことも、元気に楽しみましょう。
 
さて、今回のテーマは「節分」。
年が変わるのは1月1日ですが、季節の変わり目は立春の前日の節分です。ちなみに今年の節分は2月2日だそうです。
節分の日までにその年の厄を払って、スタートをきる日本古来の習わしですね。でも子どもにとっては怖い行事の1つ。昔から、節分の日には鬼が来て、「鬼は外、福は内」と豆まきをしたら鬼は逃げていくんだよと教えられました。いつしか、悪い子のところに鬼はやって来るよと言われるようになり、思い当たる子どもにとってそれはそれは、とても怖いものになります。
 
・鬼 厄病や災い
・福  健康や幸福
・炒った豆 生の豆は芽が出るから
     (邪気が出ないように炒った豆を使うそう)
・イワシの頭とヒイラギの葉 魔除け 
 
このように、地域によって少し違ってはいますが由来があるのです。できれば日本の良い風習を正しく子どもたちに伝えていきたいですよね。
クリスマスにサンタクロースがやってくるみたいに、節分には鬼がやってくると思っている子どもがいることが気の毒でなりません。しかし小さな子どもにとって節分の由来を100%伝えることは難しいでしょう。そこでご紹介したいのが『おなかのなかにおにがいる』という絵本。以前にもご紹介したことがあるかもしれませんが、広島の保育園や幼稚園では、この絵本に寄せて節分の行事が行われます。
教育や保育の場で選ばれているのは、子どもが前向きに「鬼」を受け止められるからなんです。鬼を「自分の弱いところ」として見ることができることで、「鬼は怖い」だけで終わらせず、自分で自分を正すことやそれを克服する象徴と考ええることができます。節分のお話ではないですが、「泣いたあかおに」も心優しい鬼のお話です。わたしはこのお話が大好きなので、鬼は決して子どもたちの敵ではないということを伝えたいのです。子どものおなかの中の鬼が、心優しいステキな鬼になってくれたら嬉しいですもんね。
そもそもが、怖い鬼を引き合いに出さなければ言うことを聞かないという子育て方法は、あまりよろしくないと感じます。鬼は子どもを怖がらせるためのものではなく、自らの気持ちの弱さに打ち勝つためのものであり、それができる強い心に育ってほしいなと願っています。そのために、大豆を歳の数だけ食べて気持ちを強化してほしいですね!
 
広島のこの辺りに伝わる節分行事はなかなか良い取り組みだなと思いますので、ぜひご家庭でも採用してみてほしいと思います。心の鬼を退治する方法を子どもと一緒に考えてみてください。そして、鬼に打ち勝つ強い心に成長できたことをぜひ褒めてあげてほしいのです。
 
日本では、春は子どもが1つ成長する季節です。おとなは、古くから伝わるいい風習を子どもたちに継承していくとともに、成長を見守っていきたいものですね。
 

【今月のおすすめ絵本】
『おなかのなかにおにがいる』
小沢孝子 作、西村竜馬 絵 / こぐま社

 
【あらすじ】
子どもたちが自分たちでお面を作り、壁にかけ豆まきをして楽しみます。そのお面は「泣き虫鬼」「くいしんぼ鬼」「いじわる鬼」など、自分のなかにいる弱い鬼。
それを追い払うために豆をまくのです。いつまでも意地悪ばかりしていると、行く場所をなくした鬼たちは…。

 
【読み方ポイント】
自分のおなかの中にはどんな鬼がいるかな?とぜひ子どもに質問してください。自分を知ることは大事なことで、それを改善しようと考えることも成長するうえでとても大切です。子どもにとってそれを考える機会になると思います。
3歳~
 
 
【プロフィール】
宮本陽子(みやもとようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日1回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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