へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「おとうさんの役割」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「おとうさんの役割」をテーマにお送りします。
 
朝晩が涼しくなり、少しずつ初秋を感じさせる季節になりました。
しかし、まだまだ残暑が厳しいのも現実です。お子さんにも、日影を探して休息しながら遊べるようにしてあげましょうね。
さて、今月は「おとうさん」に向けて書いてみようかなあと思います。
「産まれたばかりのあかちゃんにはやっぱりおかあさんのほうが…」と思われるおとうさんもいらっしゃるでしょう。確かに、新生児期のあかちゃんにはお母さんの母乳やスキンシップがその後の発育にとても大切であることは言うまでもありません。しかし、「子育て」の概念は多岐にわたります。子どものお世話だけが子育てではありませんよ!
例えば、産まれたばかりのあかちゃんにつきっきりになってしまうおかあさんの代わりに、「赤ちゃんのおむつ替えはする」、「上の子の子育てを担う」「洗濯などの家事を率先してやる」ことも、子育てを円滑にすすめるための大切な仕事なのです。
しかし子どもが成長するにしたがって子育ては変化していきます。手取り足取りのお世話から、「じぶんで!」の時期が始まり、子どもとの会話から成長を感じることができるようになります。少しずつ手を離れ、でも目は放せずヒヤヒヤすることもたくさん。このように目まぐるしく成長していく子どもたちを、おかあさん1人でなんて大変に決まっています!「子育て」はお家の人の協力が必要不可欠なのです。今回は「お家の人」=「おとうさん」に限定させていただきますので、ぜひおとうさんに読んでいただけると嬉しいです!
 
さて、自分にはどんなお手伝いができるのだろうと思っているおとうさんはたくさんいらっしゃると思います。しかし、おかあさんからしてみたら子育ての「お手伝い」はいらないのです。
自分の「役割」として子育てを担ってほしいのです。
子育てにおいておとうさんの役割はこうであったらいいなと感じていることを、いくつか
ご紹介します。(もちろんおかあさんにもできることです。しかしより大きな包容力で受け止めてくれるのはやはりおとうさんなのでは…と感じるからです)ここでご紹介するのは2歳くらいからの子どもさんの子育てを対象にしています。ぜひ参考にしていただけると嬉しいです!
 
 
「子どもの心の安定剤」としての役割
家の中に自分を守ってくれる大人がたくさんいればいるほど、子どもの心は安心します。
細かいことを色々と言いたくなるおかあさんに比べ、ダイナミックな思考や遊びを提案してくれるおとうさんは子どもの心を解放できる安定剤なのではないでしょうか。そばにいて子どもの目線に降り、何気ない言葉をかわしながら楽しく過ごす。子どもはそんなおとうさんが大好きなのですよ。
 
 
「社会のルールを伝える」役割
子どもにとって社会性を身に付けることは、集団生活を送るうえではどうしても必要になります。
今は個性もとても大切にされますから昔ほどではありませんが、少なくとも周りに迷惑をかけない程度の社会性を子どもには身に付けてほしいと思うのです。そんな時はおとうさんの出番なのでは!おかあさんは、つい細かい部分までネチネチ言いがちなので、社会に揉まれる経験をたくさんするであろうおとうさんなら、さらっと落ち着いて「出したものは片付けるのが当たり前!」などと伝えてあげられるのではないでしょうか。
 
 
「言葉でなく行動で示す」という役割
女性にくらべて言葉で説明するのが不器用な男性は、子どもに対しても言葉ではなく存在感のある大きな姿勢で示してあげることのほうが得意なのではないでしょうか。例えば、子どもが困っているときにただ黙って隣で手伝ってくれるというフォローができるのもおとうさんならではじゃないかなと感じます。
我が家の話を少しさせていただきます!
部屋がおもちゃで散らかっていました。私は、そこまできれい好きではないとは思うのですが、気になりだしたら気になる性格なんですね。私がフツフツト爆発しそうになっているのを旦那さんが気づいたのか、「ヨーイドン!」といっておもちゃを集め始めました。すると2人の子どもたちも、キャッキャ言って楽しそうに片付けを始めたのです。ゲーム感覚であっという間に部屋がきれいになりました。その時ばかりは、感謝しかなかったのを覚えています。
 
 
「子どもには簡単に乗り越えられない壁」という役割
威厳を見せたり叱ったりをするということではなく、余裕のある大きな存在でいるということ。子どもは大きな包容力のある人のそばにいることが好きだし、とても安心するんですね。優しさであったり、時に冷静に子どもに言い聞かせることができる役割を担ってほしいなと思います。やっぱりおとうさんてすごいなと感じる。こまった時に頼れる存在。子どもが大きくなってもそこは譲れないおとうさんであってほしいなと思うのです。
 
 
「子どものあそび相手」の役割
おかあさんの休息の時間を作ってあげるためにも、おとうさんは率先して子どもの遊び相手になって欲しいのです。ダイナミックで力のいる遊びを用意できるのはおとうさん。面白いルールを作ったり、意外なアイデアで遊びが楽しくなったりするのもおとうさんの力量なので、子どもたちはとっても盛り上がるのです! 童心に返って、無邪気に遊べるのもおとうさんのいいところですよね! 私なんて、「けがしないでよー」とついつい安全面を気にしすぎてしまって、自分が全然楽しめないでいるんです。おとうさんがちょっとうらやましいなぁといつも感じていました。
 
 
「おかあさんの最終的な安心できる場所」という役割
おもに子育てをするのはおかあさんという家庭が多いと思います。私の経験からですが、毎日子どもと1対1、もしくは1対複数で顔を突き合わせていると、子どものすべてが見えてきて言わなくていいことまでついつい言っちゃうのです…そして泣く子を前にイライラ…産後すぐに職場復帰をされているおかあさんたちはもっと大変だと思うのです。
そんなおかあさんの話を聞いてあげてください。「いっつも聞いとるよ」と思われるおとうさん。そうです。お仕事から疲れて帰ってきて、ビールを飲みながら聞いてくれています。
でも、そうじゃない。興味を持って聞いてほしいんです。意見をぶつけ合う必要はないのです。ただ、関心を持って聞いてくれたら、気持ちがスーっと軽くなって笑顔が出るんです。
子育てって本来楽しいものだと思うのです。だから子育ては1人でするものでありません。お家の人、保育園や幼稚園、地域が連携し力を合わせるのが子育てというのだと思います。
おかあさんが1人で苦しくならないために、おとうさんがまず、「おかあさんの1番の良き理解者」であってほしいなと思います。おとうさんの大きな包容力は、きっとおかあさんのためのものでもあるのです。
 
 
このようにおとうさんには「お手伝い」以上の大切な役割がたくさんあります。
産まれたばかりのあかちゃんから子どもが自立するその時まで、おとうさんの存在は必要不可欠なのです。
ぜひ、率先して担っていただきたいと思います。
最初はぎこちなくても、うざったがられても、自分の役割として積み重ねていくことで
それが自然になっていきます。要領も良くなる!
これからもおとうさんの子育てを応援していきます!
 
 
【今月のおすすめ絵本】
『かわいいおとうさん』山崎ナオコーラ 作/ささめやゆき 絵/こぐま社
 

 
【あらすじ】
優しいおとうさんのことが大好きな、こどもの気持ちが伝わってきます。
おとうさんはいいとこ取り。
子どもとたくさん触れ合いたくなる絵本です。

 
【読み方ポイント】
まるで子どもが話しかけているように読んであげると、一層子どもの気持ちが伝わります。
おとうさんが読んであげるのもベスト!

 
 

 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日2回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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