奥山由之『As the Call, So the Echo』出版記念トークイベント
ある村で暮らす友人の家族と、その周りの人々の日々の情景を2 年にわたり撮りためたシリーズがまとめられた、写真集『As the Call, So the Echo』は、奥山由之にとって、ある時から止まってしまった「写真の持つ気配」を、もう一度再生させるきっかけとなった、とても大切な作品です。
本イベントでは奥山さんをお迎えし、ギャラリー916にて開催された展示『As the Call, So the Echo』、そして新作写真集についてお話しいただきます。
『As the Call, So the Echo』
『As the call, So the echo』(呼びかけたから、こだまが返ってきたんだ)── いつだったか、たまたま開いた本で、気になるその字面に目が留まったことからつけられた──というタイトルは、写真家と被写体、写真家と世界との間に交わされる、生命体としてのやりとりを想起させるものでもあります。
人と人とが交わす"何か"による交信を、時間を重層させながら映し出す本書もまた、「音にならない音」が聞こえる瞬間のように、読者に届くことを願っています。
<写真集ご購入のご参加者さまに、奥山由之『As the Call, So the Echo』オリジナルポストカード(葛西薫さんデザイン)の特典付>
言葉にしえないもの<広島T-SITE イベント担当・藤木美沙>
青山ブックセンターにいた。渋谷のミニシアターでのアルバイトまでの時間つぶし。それが私の初めての奥山さんの写真との出会いだった。
GINZAをぺらぺらと捲っていたとき現れた写真に思わず釘付けになり、全身が熱くなるような、大好きな映画をみつけたような感覚で夢中になった。こんな写真をとる人は誰なんだろう?ファッション誌なのに服が写ってないカットなんてのもある。ページの隅にはとても小さく「photo by yoshiyuki okuyama」と書いてあった。
その後のアルバイト中、映画館の受付でこっそり携帯電話を開いて(映画館の人ごめんなさい)奥山さんのことをどんどん調べた。私とそう歳は変わらないらしい。なのにくるりとも仕事をしている!写真の新人賞みたいなものをとっているらしい。
写真のことなんて全く分からなかったけれど、とにかくこんな素敵な写真を撮る人はきっと素敵な人に違いない。そう思って前田エマさんとのトークイベントに参加した。
「起きて5秒後から、寝る5秒前まで写真のことを考えている。」
トークイベントで私が殊更に驚いたのは奥山さんの言葉の持つ強さだった。なんていうんでしょう。写真の素晴らしさをも危うく陵駕しそうになるほどの。その魅力をいまここで私の稚拙な言葉を尽くしても語りえないことが残念で悔しくてならない。
だからとにかく聴きに来て欲しいのです。色々な想いが沢山ありますが、とにかく皆さんに、奥山さんの写真に、奥山さんに、出会って欲しいと思います。
【プロフィール】
奥山由之(おくやまよしゆき)
1991年東京都生まれ。2011年『Girl』で第34回写真新世紀優秀賞受賞。
2016年には『BACON ICE CREAM』で第47回講談社出版文化賞受賞。
著作は他に『THE NEW STORY』(15年)『march』(15年)『君の住む街』(17年)などがある。
主な個展は、「Girl」Raum1F(12 年)、「BACON ICE CREAM」パルコミュージアム(16 年)、「THE NEW STORY」POST(16 年)、「Your Choice Knows Your Right」REDOKURO(17 年)、「君の住む街」表参道ヒルズ スペースオー(17年)など。
近年ではCM、MV、映画など監督業も精力的に行っている。
- 日時 3月11日(日)13:00-15:00
- 場所 2号館2F SQUARE GALLERY
- 参加費 1,000円(税込)
- お申し込み方法 WEB、カウンター、お電話にて
- 定員 70名