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広島T-SITEの太鼓判BOOK

 
いろいろなバックグラウンドを持つ17人に本を選んでもらいました。色とりどりの太鼓判。知らなかった本こそ手にとってください。新しい世界が広がるはずです。
 
 

 井掛雅祥の太鼓判『コンビニ人間』
 石田敦子の太鼓判『三つ編み』
 酒迎三和の太鼓判『家庭でできる 自然療法』

 佐藤友則の太鼓判『晏子』
 清水浩司の太鼓判『赤目四十八瀧心中未遂』
 高原康秀の太鼓判『ダンゴムシの本 まるまる一冊だんごむしガイド〜探し方、飼い方、生態まで』
 寺嶋 良の太鼓判『発注いただきました!』
 仁科勝介の太鼓判『ベオグラード日誌』
 原田浩司の太鼓判『Tokyo check in』
 松本奈緒の太鼓判『中川政七商店のものづくり ものざね』

 吉長邑彩の太鼓判『茶聖 (上) (下) 』
 江藤宏樹の太鼓判『切りとれ、あの折る手を〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』
 植野真弓の太鼓判『poetry dogs』

 神崎富美江の太鼓判『100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか』
 佐藤牧子の太鼓判『数の悪魔 普及版』
 高橋悠香の太鼓判『おむすびの転がる町』

 野津享子の太鼓判『マイノリティデザイン』
 
 

 

『コンビニ人間』村田沙耶香/文春文庫
 
 
社会で生きていると無意識に使ったり聴こえたりする「普通」が、読み手によっていろんな捉え方の出来る作品であると感じました。私は設計業から農業の世界に触れたときの刺激が「農業の普通圧力」であると本書を介して言語化でき、個人的な農業理解が深化した気がします。パラレルワークをされている方、他業種から事業継承された方におススメの本書です。付け加えて、主人公のキャラクターをコンビニ性質と五感の濃淡で表現されているところがチョベリぐ。
 
井掛雅祥_有限会社SPAN設計一級建築士事務所室長、株式会社おこめん工房代表取締役、任意団体お節介集団団員
過疎地三原市大和町で生まれ、高校は野球小僧になり、大学は建築で過疎解決を考え、社会は建物耐震設計・農業6次化・地域お節介を1つに絞れず、優柔不断にフラフラと非効率に活動している中年男氏


 
石田敦子の太鼓判BOOK
『三つ編み』レティシア コロンバニ、齋藤 可津子 訳/早川書房
 
 
三つ編みというかわいいイメージからこの本を手に取ると、グッと手を掴まれてすごく深いところへ連れていかれる。国や年齢も違う3人の女性が、日々を懸命に生きている様子を垣間見ていくうちに、三つ編みは編み込まれて終結を見せる。自己肯定感の低いと言われる日本では尚更、また、一人の人間にだって自己肯定や自分を信じることは常にゆらぎの中にある。だけど選択の岐路にあるとき、周りの圧力の中でも自分を信じて決断することができるようになりたい。その時この本はお守りになってくれると思う。
 
石田敦子_造形作家
1976年生まれ、広島市在住 広島大学総合科学部卒業、同大学院中退 2001年より、絵、カゴの制作発表を始め、 イラストの仕事、絵・カゴ・バッグの制作、展示発表を続けている 中区猫屋町にて月に一度オープンするアトリエasumemo(アスメモ)を構える 好きなものは猫と音楽


酒迎三和の太鼓判BOOK
『家庭でできる 自然療法』東城百合子/あなたと健康社
 
 
医療や薬に頼らない身体を作る事を意識し始めてから食を見直してきました。子供が産まれてからやはりちょっとしたケガや病気などと向き合う事もあるなかでこの本には本当に助けられました。色んな症状に合った自然療法の方法や仕方が細かく書かれていて大人も子供も体調の変化などの時にはすごく役に立っていて我が家にとってお守りのような一冊です。
 
酒迎三和_山の中のドーナッツ屋店主
移住をした北広島町吉木にて「山の中のドーナッツ屋さんわ堂」を夫婦で営んでいます 自然豊かな北広島町豊平の山の中で出来る限りの自給と持続可能な生活を目指しながら2人の子供と愛犬と鶏達と暮らしながら自宅兼のお店でドーナッツ屋をしています
 
 
佐藤友則の太鼓判BOOK
『晏子』宮城谷昌光/新潮文庫
 
 
紀元前500年前の中国春秋時代の政治家。名宰相とはこのこと。妟弱と晏嬰親子の業績は中国史に燦然と輝くものである。しかし、それ以上に輝いているのはその生き様に尽きる。親子でありながらまさに師弟であったその志高き生き様は読む者を奮い立たせてくれます。混迷を極める現代だからこそ、この本を手に取ってほしい。明日を信じるあたなに。
 
佐藤友則_株式会社総商さとう 代表取締役社長 
1976年生 総商さとう4代目 著書(共著/島田潤一郎):「本屋で待つ」 庄原市東城町にあるウィー東城店という本屋で働いています 本屋は楽しいなっていつも思います 本屋の持つ可能性にワクワクしています


清水浩司の太鼓判BOOK
『赤目四十八瀧心中未遂』車谷長吉/文春文庫
 
 
万人に勧められる本ではありません。読む人を選ぶ本です。でも私はここに描かれている世界に強烈に魅了されます。むしろこの世界を共有できる人としか本当に大事な部分は分かり合えないと感じてしまいます。社会の掃溜と、そこに咲く花。臓物の臭いと、薄暗がりに見える迦陵頻伽(かりょうびんが)の刺青。こんなに深く刺さって残る小説は稀だと思います。知ってます? 赤目四十八瀧って実際に三重にある滝なんですよ。いつかそこに行ってみたいと思っています。
 
清水浩司_ライター・小説家・編集者
2019年、『愛と勇気を、分けてくれないか』で広島本大賞受賞 テレビやラジオでも活動 4月にスペインのサンティアゴ巡礼に出発 note上でその模様を「ぼんやりした巡礼」として連載中


高原康秀の太鼓判BOOK
『ダンゴムシの本 まるまる一冊だんごむしガイド~探し方、飼い方、生態まで』奥山 風太郎、みのじ/DU BOOKS
 
 
ダンゴムシそれは誰もが知ってる説明不要の生物界の巨星。ダンゴムシそれは見たら触らずにはいられない子供達のアイドル。ダンゴムシそれは迷路実験を1発でクリアすることもある驚異の生態持つ生き物。そんなダンゴムシに纏わるのあれこれを丸っと解説したのが本書。ダンゴムシが好きな人も、ダンゴムシが好きだった人も、ダンゴムシがこれから好きになる人もすべての人にオススメ出来る1冊です。
 
高原康秀_第1回広島本屋通り実行委員
ローカルストアとローカル牛乳とローカル袋麺とレトロ自販機と池と棚田と本の有る場所を巡り歩く徘徊系会社員
 
 

寺嶋 良の太鼓判BOOK
『発注いただきました!』朝井リョウ/集英社文庫
 
 
『桐島部活やめるってよ』でデビューをし、『何者』では直木賞を受賞をした朝井リョウさんが様々な企業とのタイアップによって過去に書かれた小説やエッセイを集めて生まれた一冊です。一編ごとに発注先、掲載媒体、物語の条件などが明記されてあり、物語が終わった後にも著者の解説で締められています。条件や文字数の指定によって限られた枠に収まっているはずなのに枠を感じさせない世界観を描く著者の文章に、誰もが引き込まれてしまうのではないでしょうか。
 
寺嶋 良 _ 広島ドラゴンフライズ 選手
プロバスケットボールBリーグB1広島ドラゴンフライズでプレー中 スピードを生かしたドライブが武器で、日本代表選手にも選出 趣味は読書で、バスケットボール雑誌「ダブドリ!」ではコラムを連載するなどマルチに活躍中
 
 
仁科勝介の太鼓判BOOK
『ベオグラード日誌』山崎佳代子/書肆山田
 
 
ベオグラード在住の詩人・翻訳家の著者が、2001年から12年間の暮らしを日記形式でまとめた一冊。巻頭の言葉を読んだ瞬間から、著者の世界に引き込まれる。ユーゴスラビア紛争、NATO軍の空爆で奪われた日常。“善”と“悪”とは果たして何なのか。暗闇をすくいあげる言葉たちが、ベオグラードの命を抱えて生きているように感じられた。そして何より、短く鋭く美しい言葉の数々に圧倒される。何箇所写生したかわからない。
 
仁科勝介_写真家
1996年、岡山県倉敷市生まれ 広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡った『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行
 


原田浩司の太鼓判BOOK
『Tokyo check in』石塚真一/小学館
 
 
「岳」では登山、「Blue Giant」でJazzを魅せる石塚真一氏の短編集。バックパッカーとして世界を放浪した主人公は、実家の下町のホテルで働き始める。温かな対話を通じ、旅の目的が一人一人違うお客さまそれぞれの琴線に触れる「ニッポン」を紹介。インバウンド復活の兆しを前に、鉄板で踊るお好み焼きの鰹節や、床屋での熱々タオル極楽髭剃りなど、日本でしか味わえない「おもてなし」について、今改めて考えるキッカケとなる作品です。
 
原田浩司_ビジネス旅館はらだ
地方自治体や、JICAの青年海外協力隊としてネパールで「農」に関わり、広島に帰ってからは「ビジネス旅館はらだ」で日々格闘中。カルチャー大好き。旅館はらだの小説、漫画コーナーは定番からマニアックなものまで、偏愛に満ちたラインナップでお出迎え!
 

松本奈緒の太鼓判BOOK
『中川政七商店のものづくり ものざね』中川政七商店
 
 
中川政七商店のものづくりの核である〝ものざね〟に焦点を当てたこの本は、私たち中川政七商店が何を大切にしているかが沢山詰まっています。昔から大切にされてきた道具をそのまま変化を加えず使うのではなく、今の暮らしの中でどのように寄り添うかを考え、長く愛着を持って使ってもらい、未来まで繋げたいという意思が込められています。普段店頭に立つ私は原点に立ち返りたい時、そっとこの本を手に取っています。
 
松本奈緒_中川政七商店 店長
人生の殆どを広島で過ごしています。異動で県外暮らしを経験し、広島ってご飯も美味しく暮らしやすい場所なんだ!と気づきもっと大好きになりました。最近のお気に入りはこの春植替えしたゆっくり育っているアデニウムです。
 
 
吉長邑彩の太鼓判BOOK
『茶聖 (上) (下) 』伊東潤/幻冬舎文庫
 
 
千利休。「茶の湯」という一大文化の「わびさび」を完成させ、数々の茶道具を創った見立ての天才。また天下人豊臣秀吉の側近でもあった。“千の利益を休め”という名前の由来は?キリシタンや政治と茶の湯の繋がりは?利休は何を目指し何を目論んでいたのか?秀吉とはどのような関係で、いかなる確執が生まれていったのか?なぜ利休は切腹したのか?会話文が多い読み易い文章でその時代の中に引き込まれる歴史大河ロマンの本です。
 
吉長邑彩_田頭茶舗 代表
広島県呉市出身、九十二年の老舗茶屋の三代目 茶道裏千家準教授 YouTubeで茶道の“いろは”や著名人との対談を楽しく発信 日本茶や茶道についてのセミナーを開催
 
 
江藤宏樹の太鼓判BOOK
『切りとれ、あの祈る手を 〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』佐々木 中/河出書房新社
 
 
この本を読むたびに何度も何度も考えざるを得ない。私たち書店員とは何者なのか。私たちは遠い昔から、書き、読み、書き換え、そしてまた読み、書き換えながら革命をなしてきた。その中で私たち本を売る者の役割とは一体なんなのだろう。書店員がなすべきことの重大さに誇りを持つと同時に、課せられた責任の重さに立ちすくんでしまう。しかし、この本を読むたびに私は何度でも歩き出す気力を得ることができる。本を愛する誰にでも読んで欲しい、私の太鼓判の1冊。
 
江藤宏樹_広島 蔦屋書店 文芸
 
 
植野真弓の太鼓判BOOK
『poetry dogs』斉藤倫/講談社
 
 
道に迷っても、なぜだか必ず辿り着けるいぬのマスターがいる不思議なバーはお酒といっしょに『詩』をお通しのように出してくれる。もちろんマスターのおまかせで。寂しさはカクテルにとかして詩に酔いながら語るひと時。独り言のようなつぶやきも、昂る気持ちの早口も、誰かに聞いてもらえる、言葉ごと抱きしめてもらえる、その優しさが、明日を生き延びようとするその人に、きっと何よりも大切なことだと、そう思えてくるひとすじの光のような詩の本です。
 
植野真弓_広島 蔦屋書店 文芸担当
 
 
 
神崎富美江の太鼓判BOOK
『100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか』ジュリアン・バジーニ著、向井和美訳/紀伊國屋書店
 
 
 
無意識に行っている「考える」という行為、これがもっと深く、もっと楽しくなる一冊です。人生や生命など哲学や倫理学の問題には正解がありません。それは答える人の状況によって捉え方が違うからです。この本に載っている100の問題が求めているものを考えたとき、ソクラテスの説いた「善く生きる」が浮かびました。いくつかの立場に自分を置いてみて、それぞれが「善く生きる」ためにどうあるべきか。「思考」は迷宮です。迷路をさまようように考えを巡らせてみてください。
 
神﨑富美江_広島 蔦屋書店 人文担当
 
 
 
佐藤牧子の太鼓判BOOK
『数の悪魔 普及版』ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー/晶文社
 
 
10歳から100歳までの「子ども」を対象としたドイツ発ロングセラー。「数学は美しいものである」とはよく言われることですが、理系の勉強全般がまるでダメな私にも、その美しさの一端を鮮やかに目の前に広げて見せてくれるような、純粋な驚きと感動を本書は与えてくれました。美しくそして不思議な数学の世界。算数・数学に興味ある子に是非とも読んでほしい。そしてそうでない子どもや大人にも。読んだ後は読む前よりもきっとずっと数学が好きになります。
 
佐藤牧子_広島 蔦屋書店 児童書担当
 
 
 
高橋悠香の太鼓判BOOK
『おむすびの転がる町』panpanya/白泉社
 
 
これは日本にあるどこかの町について描かれた漫画。昔は知らない道を「近道」と呼んで通ったり、探検するのが好きだった。今はきっと「近道」にわくわくすることもなく、足早に目的地をめざして慣れた道をただ通行するだけ。でも、気にも留めなかったそこの脇道が実は地底都市への入口になっているかもしれない。今日の帰り道、この主人公のように自分の影を薄くして、町の風景や文字に注目してみたくなる。
 
髙橋悠香_広島 蔦屋書店 コミック担当
 
 
 
野津享子の太鼓判BOOK
『マイノリティデザイン』澤田智弘/ライツ社
 
 
はじめは表紙の点字や本のタイトルから障害を持つ人のための商業デザインについて書かれている本かと思い手に取りましたが、内容は全然違っていました。すべての人がマイノリティである。そのことに気づき、ゆるスポーツを考案していった過程が書かれています。誰にでも起こりうる不運で幸せになれないというのは、社会のほうに問題があるのではないか。置かれた状況を悔やむのではなくいかに生きやすくもっていくか。たくさんのメッセージが詰まっています。
 
野津享子_広島 蔦屋書店 ワークスタイルコンシェルジュ
 
 

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