広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.252『RüCK(リュック)』ながさきプレス
蔦屋書店・竺原のオススメ『RüCK(リュック)』ながさきプレス
いわゆる「旅行ガイド」と言うと、ある地域に関する「食」と「場所」に関するあれやこれやが誌面に目白押しになっている、というのが常である。
読者である我々は、その中から気になる情報をピックアップして、現地でその情報を“使う”感じになる訳ですが、一方でこの7月に創刊された“ニュー・トラベル・マガジン”『RüCK(リュック)』は「食」と「場所」は勿論の事、それに加えて“人”にまつわる事柄を、ストーリーとして楽しむ事が出来るというのが特色で、かつそこが “ニュー・トラベル・マガジン”という冠を自称するゆえんであると思う。
読者である我々は、その中から気になる情報をピックアップして、現地でその情報を“使う”感じになる訳ですが、一方でこの7月に創刊された“ニュー・トラベル・マガジン”『RüCK(リュック)』は「食」と「場所」は勿論の事、それに加えて“人”にまつわる事柄を、ストーリーとして楽しむ事が出来るというのが特色で、かつそこが “ニュー・トラベル・マガジン”という冠を自称するゆえんであると思う。
この雑誌は長崎県唯一のタウン情報誌『ながさきプレス』をはじめとした様々な出版物を刊行する会社が作成した、地元長崎を掘り下げるトラベルマガジンであるが、面白いのはこの一冊が丸々「西彼杵(にしそのぎ)」という日本の西の果てに位置する半島について書かれたものであるというところ。
正直に言って、世の中でこの地名を知っているよという人より知らない人の方が多いと思うし、実際に行った事があるという人となると中々少ないのではないかとも思うし、ついでに言うとふりがながなかったらそもそもなんて読むのかわからないという人がほとんどなのではないかとさえ思う。
かく言う私もこの雑誌を人から紹介してもらうまで西彼杵の存在すら知らなかったのですが、一方で最後まで読み終わった今なにを思うのか?と言うと、ずばり“西彼杵に行きたい!”である。
正直に言って、世の中でこの地名を知っているよという人より知らない人の方が多いと思うし、実際に行った事があるという人となると中々少ないのではないかとも思うし、ついでに言うとふりがながなかったらそもそもなんて読むのかわからないという人がほとんどなのではないかとさえ思う。
かく言う私もこの雑誌を人から紹介してもらうまで西彼杵の存在すら知らなかったのですが、一方で最後まで読み終わった今なにを思うのか?と言うと、ずばり“西彼杵に行きたい!”である。
非常にシンプルな感想だが、そんな気持ちにさせられてしまった理由として、まず誌面の構成が良い。
先程も申し上げた通り、一般的な旅行ガイドは“なんの情報を載せるか?”という地点から形作られて行くものだ(と思われる)が、この『RüCK』は“なんの情報を載せないか?”という、反対方向からのアプローチによって成り立っている様な気がする。
つまり(これはどんな地域であってもそうだと思うが)、多種多様・千差万別に存在する地域独自の良いもの・良い場所・良い人などなどを、限られたページ数の中で十分に語ろうとすると、当然スペースが足りなくなって来る。
その時に“語る”部分を切り捨てて他の情報を盛り込むのではなく、逆に一部の情報をあえて載せない代わりに(載せた事柄に関して)存分に語る、という選択をした事が、結果的に全体の密度を高める結果になっていると感じるし、副産物的に「この土地には、他にもまだまだ楽しい魅力があるのでは?」という期待感を抱かせてくれる事にも繋がっている。
情報そのものだけでなく、その情報の見せ方という意味で、カルチャー味あふれるレイアウトも堪らないポイントの一つになっているので、そこを意識してみるのもまた乙である。
先程も申し上げた通り、一般的な旅行ガイドは“なんの情報を載せるか?”という地点から形作られて行くものだ(と思われる)が、この『RüCK』は“なんの情報を載せないか?”という、反対方向からのアプローチによって成り立っている様な気がする。
つまり(これはどんな地域であってもそうだと思うが)、多種多様・千差万別に存在する地域独自の良いもの・良い場所・良い人などなどを、限られたページ数の中で十分に語ろうとすると、当然スペースが足りなくなって来る。
その時に“語る”部分を切り捨てて他の情報を盛り込むのではなく、逆に一部の情報をあえて載せない代わりに(載せた事柄に関して)存分に語る、という選択をした事が、結果的に全体の密度を高める結果になっていると感じるし、副産物的に「この土地には、他にもまだまだ楽しい魅力があるのでは?」という期待感を抱かせてくれる事にも繋がっている。
情報そのものだけでなく、その情報の見せ方という意味で、カルチャー味あふれるレイアウトも堪らないポイントの一つになっているので、そこを意識してみるのもまた乙である。
“どんな人間でも、その人生は誰しも一冊の本に出来るほどの物語がある”とは名もなき誰かが残した至言であるが、この『RüCK』がおこなった掘り下げはまさにその言葉を体現する、非常に丁寧なアプローチであったと言えるのではないかと思う。
第2号の刊行を心待ちにしつつ、また少し話が逸れるものの、他の地域においてもこの『RüCK』的編集によって形作られた雑誌が生まれたら、それはとても素晴らしい事ではないか、という事にまで思いを馳せる読書体験となった。
そんな『RüCK』の創刊を契機としたフェアが11/13(日)までここ広島 蔦屋書店で開催中ですので、是非一度ご覧頂ければと思います。
https://en.store.tsite.jp/hiroshima/event/magazine/29084-1008360924.html
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