『現代思想入門』で2023年新書大賞を受賞した哲学者・千葉雅也氏の最新小説『エレクトリック』(新潮社)が５月31日に発売となります。『デッドライン』『オーバーヒート』につづく小説第三弾の本書は、第36回三島賞候補にも挙がりました。
舞台は、1995年の宇都宮。東京に憧れる高校２年生の達也と、自宅の「スタジオ」でアンプの製作に熱中する広告業の父が、バブル崩壊後の20世紀末を駆け抜ける冒険譚です。
インターネット黎明期でもあるこの年、達也は父の指示で、周囲の誰よりも早くインターネットに接続し、ゲイのコミュニティをはじめ、夜空のように茫漠と広がる外界との接触を試みはじめます――。

インターネットですべてが変わる。
だから今のうちに体験しておくべきなんだ。

小説のなかで達也がそう語ったように、世界はすっかり変貌しました。そして現在、ChatGPTの登場により、創作の現場にも、新たなAI化の波が押し寄せようとしています。そのような時代に、手探りで小説を書いてゆくことには、どんな意味があるのか。AIによって書かれた小説と、人間が書く小説とのあいだには、どのような隔たりがあるのか。小説はこのあと、どこへ行くのか？
小説『滅私』でSDGs時代の行き過ぎたミニマリズムを描きだし、読者を震撼させた羽田圭介さんをゲストにお迎えし、いま小説をめぐって考えていることをライブで語りあっていただきます。どうぞお見逃しなく！
 
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【プロフィール】
千葉 雅也 (ちば・まさや)
1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。2019年、初の小説『デッドライン』で野間文芸新人賞受賞。2021年、初の短篇「マジックミラー」で川端康成文学賞を受賞。同年、同作所収の『オーバーヒート』を刊行。著書に『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』『ツイッター哲学――別のしかたで』『勉強の哲学――来たるべきバカのために』『意味がない無意味』『アメリカ紀行』など。2023年、『現代思想入門』で新書大賞受賞。最新小説『エレクトリック』が三島由紀夫賞候補に。

羽田 圭介 (はだ・けいすけ)
1985年東京都生まれ。高校在学中の17歲の時に「黒冷水」で第40回文藝賞を受賞し、小説家デビュー。明治大学商学部商学科卒業。2015年、「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞を受賞。他の著書に『不思議の国のペニス』『走ル』『ミート・ザ・ビート』『御不浄バトル』『「ワタクシハ」』『隠し事』『盗まれた顔』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』『5時過ぎランチ』『ポルシェ太郎』『羽田圭介、クルマを買う』『Phantom』『滅私』『三十代の初体験』など。