【コンシェルジュのコラム】どうしても捨てられない雑誌。『GINZA』(1997年創刊)/マガジンハウス|雑誌コンシェルジュ 久住
梅田 蔦屋書店にはそれぞれの分野に特化した知識をもったコンシェルジュや売場担当者がたくさんいます。担当するジャンルについてはもちろん、本のこと、日々のこと、それにも当てはまらない❝まさか❞のことまで、一人ひとりの個性を大切にしながら紡ぐ、コラムのコーナーです。第五回目は雑誌コンシェルジュ久住がお送りします。
どうしても捨てられない雑誌。
『GINZA』(1997年創刊)/マガジンハウス
私は幼い頃から雑誌が大好きで、今でもたくさんの雑誌を購入しています。 ただ部屋の広さにも限界があるため、定期的に手放さなければいけません。 そんな状況の中でも、ずっと私の本棚に残っている雑誌が、2012年の5月号から毎月欠かさず購入をしている『GINZA』です。
コンシェルジュの実際の本棚
―― 突然目に飛び込んできたその雑誌を手に取りページをめくると、一瞬で夢中になった
2012年は私が大学を卒業して働き始めた年。 慣れない仕事でヘトヘトの中、お昼を買うために入ったいつものコンビニで、何故か鮮やかなグリーンが表紙の、その雑誌だけが少し輝いているように感じました。
母親がたまに購入をしていたので、学生時代はときどき実家で目にする機会はありましたが、その当時の私にとって『GINZA』はまだ大人の雑誌。 自分から手にすることはありませんでした。 懐かしさと、突然目に飛び込んできたその雑誌を手に取りページをめくると、一瞬で夢中になりました。
その日以降、発売日が待ち遠しく、今では毎月この雑誌を読むことが、私にとって生活の一部になっています。 たとえ雑誌に掲載されているアイテムが買えなくても、また同じ格好をしなくても…数多くの人が関わり、圧倒的な時間をかけて作られた誌面には、感性を刺激する力があるだけでなく、ファッションを通して日々を楽しむヒントがたくさん詰まっているように感じます。
『GINZA issue 179』
―― それぞれのタイミングで出会うからこそ運命
本棚にある『GINZA』も、もうすぐ100冊。2012年以降、編集長の方が変わったり、ロゴが変化するなど、何度か大きなリニューアルもありました。どの号も印象深く、表紙を見るだけで、その当時の状況を思い出し、どうしても手放すことができずにいます。
時代の流れと共に変化し、読者と寄り添いながらも、誌面全体からワクワクする非日常を届けてくれる雑誌。 ただ、どんなにたくさん売れた号でも、ずっと書店に並ぶことはなく、だからこそ、それぞれのタイミングで出会った雑誌に運命的なものを感じてしまうのかもしれません。 これからも雑誌から広がる世界や、編集者の方の想いも一緒に伝えることで、雑誌を通して素敵な出会いを、たくさんお届けできればと思っています。
PROFILE|雑誌コンシェルジュ 久住
1989年生まれ。徳島県出身。大学を機に大阪に在住。小学校低学年の時に近所に大きな書店が出来て以降、約6年間、ほぼ毎日その書店に通うようになる。またファッション・映画・音楽・建築・デザイン等、気になることは全て雑誌から情報を得る中で、自然と雑誌や雑誌に掲載されている広告の面白さや魅力に惹かれ、夢中になる。大学ではメディア情報系を専攻し、卒業後は広告会社で勤務。そこでも雑誌からは離れられず、同僚や上司に自分で購入をした雑誌を紹介する日々を送る。当時、雑誌に掲載された写真の写真家を調べている中で、蔦屋書店や雑誌コンシェルジュの存在を知り、広告会社を退職。他の書店で勤務後、現在に至る。
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