【イベントレポート】美肌の秘訣がインナーケアの理由は? アムリターラ代表・勝田小百合×皮膚科医・山﨑まいこ対談

「どうしたら、肌がきれいになりますか?」。
誰もが気になるこの問いに、”ナチュラルアンチエイジング×メディカル”の視点で答える美肌対談が、2019年 5月19日、梅田 蔦屋書店で行われた。 国産オーガニックブランド「AMRITARA(アムリターラ)」のコスメやフーズ、サプリメントの開発を行う勝田小百合さん、東京・代官山「まいこ ホリスティック スキン クリニック」院長・山﨑まいこ先生、二人が美肌の秘訣として語るのは、腸や心などがかかわる「インナーケア」。その理由とは?
 
 
 

インナーケアと肌の深い関係
 

山﨑まいこ先生(左)、勝田小百合さん(右)

勝田小百合さん(以下、勝田):形成外科医を経て、現在は皮膚科医として活躍されている山﨑まいこ先生は、心や精神、環境なども含めたホリスティックな視点から治療をされています。どういう経緯で行き着いたんですか?

山﨑まいこ先生(以下、山﨑):自然な流れでした。皮膚科医として皮膚の表面だけ診ても本当の意味で治すことはできず、薬を処方して症状を抑えるだけ。医者になってすぐ、患者さんに頼って来ていただいているのに治せていないという、苦しさを感じるようになりました。
どうしたらいいのか考えていた時に、栄養などの内側へ目を向けることが必須だと気付き、いろんな視点で診るようになりました。

勝田:まいこ先生は栄養指導やファスティングプログラムでの断食指導もされていて、皮膚というより身体全体のことを診ていらっしゃる感じがします。

山﨑:普段から患者さんと皮膚以外の話をしています。

勝田:医療というのは、本来そういうことじゃないかと思います。人間は、ロボットのように悪い部分を切り取れば済む話ではない。発ガンしていたら、身体の複数の箇所を同時並行で診ていかなければいけないこともありますよね。
 
 
 

美しい肌のための、腸活とは?

勝田:3月26日に刊行された先生のご著書『美しい肌が生まれるところ』(ワニブックス 刊)では、腸と心を整えることがいかに美しい肌に関わるかということが、徹頭徹尾、とても分かりやすく書かれています。
 
『美しい肌が生まれるところ』(山﨑まいこ 著、ワニブックス 刊)


私がとても共感したのが、冒頭に出てくる金魚のお話です。

山﨑:腸内環境を整えることの大切さは浸透していますが、なぜ肌につながってくるのかはあまり知られていないんです。それを説明する時に金魚に例えています。

勝田:「あなたの肌を金魚、あなたの腸を水槽に例えると考えてみてください。水槽の水が汚れてくると金魚は元気でいられない。腸内環境が悪くなると吹き出物などのトラブルになり、水が濁ったままどんなに栄養満点な餌を与えても、弱った金魚は餌を食べることができません」。すごく分かりやすい!
最近では、腸内環境が免疫力に関わっているということも分かってきていますね。

山﨑:腸の粘膜に、体内の7、8割の免疫に関わる細胞が集まっていると言われています。アレルギー体質の人、免疫が弱いなと思う人は、腸内環境が悪くなっているんです。リウマチなどの自己免疫性疾患の治療でも、栄養と腸のことを考えるようにしています。

勝田:腸は”内なる外”、外敵を待ち構える最初の砦で、そこが弱ると免疫が落ちてくる。

山﨑:アトピー、アレルギーの方には必ずファスティングをしていただいていますし、皮膚の治療も腸内環境を整えることが最初のステップです。そうすると、身体にいいものを食べた時などに相乗効果を得られます。

勝田:今、便秘の方が多いですよね。便の量が減っている、つまり腸内細菌の量も減っているのでは。体重のうち、1.5〜2kgが腸内細菌の量と言われていますが……。

山﨑:細菌の量も種類も、免疫力に関わっています。人間が腸内細菌に生かされているといっても過言じゃないです。

勝田:日本人の多くの方は、糖質や、動物性のものなど食物繊維ではないものでおなかを満たしている傾向にありますね。

山﨑:免疫のほかにも腸にはいろんな役割があるんですよ。

勝田:ご著書でも触れられている、解毒機能ですね。
 
勝田小百合さん

山﨑:身体の解毒器官といえば肝臓、腎臓です。しかしそこに行き着く前に、腸の粘膜も悪い物質を見張っているんです。粘膜の壁の中で毒が分解されていることも多く、肝臓などの負担を減らしてくれています。つまり、腸が弱っていると肝臓などにも負担がかかってしまうんです。また、解毒が十分でないと血液が汚くなってしまうのですが、実はこの血液も肌に関係しています。

肌にはビタミンCを摂るのがいいとされていますが、どう肌に届けられているかというと、血液に乗って運ばれているんですね。その血液をきれいにして栄養素を届けられる状態にすることが大切。せっかくいいものを食べたり、サプリメントを飲んだりしても、最初のステップを整えないと意味がないんです。

勝田:身体にいい食べ物はよく語られますが、まずそれをちゃんと消化吸収できていますか? ということですね。
そういえば、最近は食中毒になる人が多くないですか? お年寄りよりも若い人が。

山﨑:食中毒は、免疫と腸内環境が健康であれば簡単にはならないものです。バランスが悪くなっていると、悪い菌に負けてしまうんです。

勝田:保存料や添加物がたくさん入っている食べ物がありますが、そういうものは菌が繁殖できない食べ物だということ。つまり、腸はそういう菌が繁殖できないものを分解しなければならないから、処理が大変になる。腸内環境にも影響が出てくるわけですね。

山﨑:世の中には腸内環境を悪くするものであふれていますよね。特に日本では、他の国では規制されている保存料や添加物が許容されているものもあります。

勝田:使用許可されているものが何千種類とありますね。心を安定させているセロトニンは腸内で作られているので、腸が荒れていると精神にも影響を及ぼします。

ちなみに、人は産まれる時は無菌ですが、お母さんの腸内細菌を産道を通る時にもらい、20歳までの成長の過程で様々な菌と触れ合うことで免疫力を上げていくんです。
ところが今は、何でも抗菌ティッシュで拭いたり、消毒したり……なんと、抗菌砂を使った砂場もあるらしいですよ。これでは免疫力が鍛えられない。
 
山﨑まいこ先生
 
山﨑:腸内細菌は、お母さんからの最初のギフトだと思います。アメリカの進んだ技術を持つ産婦人科の先生は、帝王切開だと赤ちゃんがお母さんの産道を通らないから、帝王切開をしたらすぐにお母さんのデリケートゾーンの粘膜を赤ちゃんに付けてあげるということをやりはじめているそうです。
赤ちゃんは、よくいろんなものを口にしますよね。でも、そのままにしてあげることが大切です。学習しているんです。産まれて1年間のその行為で腸が持つ菌の種類が決まってしまうので、禁止すると乏しい腸内環境になってしまうんです。

勝田さん、「腸内環境をよくするにはどうしたらいいですか?」ってよく聞かれませんか?

勝田:聞かれます。残留農薬や添加物、肉の食べ過ぎや糖質の摂りすぎが腸内環境を悪くする原因ですが、デトックスのためには例えばフルボ酸が良いといいますね。

山﨑:自然な形で自分のミネラルバランスを整えてくれますね。善玉菌を増やしてくれるものもあるなど、いろんな作用があります。スムージーをつくる時にまぜたりします。

勝田:先ほど、糖質の摂りすぎが腸内環境によくないと言いましたが、糖化といえば、「まいこ ホリスティック スキン クリニック」にはAGE測定器というものがありますよね。

山﨑:すべての病気の根源が炎症なんですけれども、炎症を起こすのが酸化と糖化です。ひとつの因子である糖化を測れます。
AGEという糖化によって糖質がタンパク質とくっついて、身体のいろんなところに沈着してしまうんですが、肌のコラーゲンにも沈着して分解してしまうので、たるみやしわの原因にもなってしまうんです。骨肉に付くと骨や肉がもろくなり、血管に付くと動脈硬化の原因になったり、脳に付くとアルツハイマーになったり……。AGEがどのくらいか自分で知っておくことは必要ですね。

勝田:ただし、完全に糖質を断つと乳酸菌が減り、腸内環境が悪くなるという話もありますので、極端に控えるのはNGです。

山﨑:過度な制限は私も勧めていません。きちんと行わないと、かえって不調の原因にもなります。


勝田さんご自身は、腸内環境のために気を付けていることありますか?

勝田:野菜を摂ることはもちろんですが、食物繊維の水溶性と不溶性のものを両方摂ることを心掛けています。アボガド、モロヘイヤ、里芋あたりですね。

山﨑:私の冷蔵庫の中身と似ています(笑)。私はアボカドや山芋を常備しています。

勝田:あとは水分、特にいい水を摂ることですね。デトックスは必ず水とともに行われます。有害物質を出す経路の75%が腸、20%が尿、3%が汗、髪と爪が1%ずつ、とされていますね。つまり、大切なのは腸。

山﨑:私が「腸内環境をよくするにはどうすればいいですか?」と聞かれたらお答えしているのが”HOPE(ホープ)”です。H「 ハイファイバー(食物繊維)」を摂りましょう、O「オイル」の質に気を付けましょう、P「プレバイオティクス(腸内環境を整える食品)」で細菌を増やしましょう、E「エンザイム(酵素)」を摂りましょう、ということなんですね。
 

 勝田さんがお気に入りの食材。提携農園で自ら田植えをした米で作った生味噌や、天然の麹菌、自然栽培の大分産大豆など(画像提供/AMRITARA)

何を食べるかも大事ですが、それらがうまく消化されているかを気にしていただきたいです。そこでよく使っているのがE「エンザイム(酵素)」です。アメリカでも腸内環境の改善に酵素が使われていますし、クリニックでもファスティングとかを組み合わせると効果が上がります。お金をかけずにすぐにできるのは、食べる時によく噛んで、唾液に含まれる消化酵素を分泌させることです。


勝田:私はカイロプラクターでもありますが、最近は顎が弱ってよく噛めない、という方もよくいらっしゃいます。若いうちはいいのですが、一定の年齢からは頰のたるみにもつながります。

山﨑:あとはO「オイル」も本当に大事ですね。脂質が脳細胞と神経細胞の6割程度をつくっていて、学習塾で頭のいい子を並べたらコレステロールの高い順だった、というデータもあるくらい。

 

山﨑先生のお気に入りはギー。アレルギーの方も食べられて、短鎖脂肪酸も豊富。ココナツオイル同様、アスリートも愛用しているとか。

勝田:私はオキアミを搾ったクリルオイルが好きです。水溶性の油だということと、オキアミにはアスタキサンチンという脂質の酸化をおさえる成分が含まれていることが気に入っているポイント。出合った時にこれだぁ!ってうれしくなっちゃいました。
あとは亜麻仁オイルですね。いい油を摂ってくださいね、みなさん。自然食品店で買えますし、スーパーで買えるものだと、”低温圧搾”と書かれたものや、天然のオリーブオイルがおすすめです。
 
 
 

活性酸素と美肌の関係

勝田:腸の次は、活性酸素の話を。
今、紫外線がすごいですよね。光老化の原因になる活性酸素が発生してしまうので、できるだけ反射させる必要があります。実はスマートフォンのブルーライトでも活性酸素が発生してしまうんですよ。
 

紫外線をはじき、活性酸素も出さない美容ミネラル「セリウム」でつくった「オールライトサンスクリーンクリーム SPF18 PA+」など、AMRITARAには活性酸素対策のコスメラインがそろっている。

山﨑:活性酸素には何種類かあり、身体に必要なものもあるのですが、発生が多いと、自分自身が除去できないヒドロキシルラジカルという最も悪玉の活性酸素になっていくんですね。それが人間の遺伝子や細胞を傷つけて、いろんな病気の根源になります。それを除去できるものは数少ないと言われていますが、その中の一つが水素です。

勝田:60兆個あると言われる細胞のうちの1個のなかに300〜1000個のミトコンドリアがいて、それが酸素を取り込んでエネルギーをつくります。その段階で、そのうちの1、2%が活性酸素になるんです。排気ガスのようなものですね。つまり、身体中で劣化が進んでいるということ。水素は宇宙一小さい物質だから、体に入って除去してくれます。
 
 
 

腸と心で、肌は変わる
 

勝田:最後は心についてです。先生のご著書の最後の章で、一番のトピックス。実は心と肌はすごくリンクしている、ということが書かれています。ここにたくさんのページ数が割かれていて感動しまして。

山﨑:医者という立場で心のことを言うのはチャレンジでしたが、私が一番大切にしていることですし、言わずにはいられませんでした。

皮膚は人から見える臓器ですから、精神状態も症状とリンクします。腸内環境も精神状態とリンクしています。肌、腸、心は、本当に関係性が深いと日々感じています。

症状がよくなるにしたがって、患者さん達は明るくなっていくんですね。「仕事と家の往復だったけど帰りにどこかに行こうと思えるようになった」「旅行が楽しめるようになった」とおっしゃいます。そういった気持ちが、さらに肌や腸の状態をよくしていて、実際に科学的にも証明されています。

肌は、誰かに直接触れてもらうだけでリラックスするホルモンが出されているんですよ。お母さんが地肌で赤ちゃんを抱っこしたり、落ち込んだ時にはハグしてもらうことで心が落ち着いたりする。“手当て”という言葉もありますよね。

勝田:脳と同じように、皮膚にも神経伝達物質の受容体があるらしいですね。皮膚は色がわかるし、香りも感じているという研究もあって、面白いです。目にみえる臓器であると同時に、心でもある。

山﨑:肌は考える臓器であるとも言われています。

勝田:私はスキンケアはコットンを使うよりも手で直接愛でてあげるのがよいと思っているんですよ。

今日は腸と美肌のつながりがわかっていただけたかなと思います。ありがとうございました。
 
 


【プロフィール】
勝田小百合(アムリターラ代表・開発)

国産オーガニックブランド「AMRITARA」(アムリターラ)代表兼商品開発を行う。
一児の母。カイロプラクターでもあり、都内にある治療室で多くの女性の施術をしながら、ブログ「アンチエイジングの鬼」で健康美容情報を発信。同名著書がシリーズで10万部を超える大ヒットに。近著は「老けないオーガニック」(ワニブックス)。
>Instagram:https://www.instagram.com/katsutasayuri/


山﨑まいこ(まいこ ホリスティック スキン クリニック院長)
皮膚科医。勤務医として形成外科医、皮膚科医、美容皮膚科医を務め、2018年東京・代官山にクリニックを開業。ホリスティックな視点から、外側の治療だけでなく、身体の内側、腸内の健康、心のあり方までサポートし、真の健康と美しさを追求している。2019年3月に初の著書「美しい肌が生まれるところ」(ワニブックス)を発売。
>Instagram:https://www.instagram.com/maiko_holistic_skin_clinic/

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