【六本松の6オシ!】2023年5月 VOL.6 文学担当者のオシ!『心は胸のふくらみの中』/菊竹 胡乃美
当店の各ジャンル担当者が、今一番読んで欲しい本を厳選した『六本松の6オシ!』。
皆様におすすめの1冊をお届けします。
■文学担当者のオシ!
『心は胸のふくらみの中』
菊竹 胡乃美
現代を生きる「女」の生きづらさを大胆かつ細やかに詠んだ、福岡出身・菊竹胡乃美の第一歌集。
おんなというもの野放しにして生きるには多すぎる爆撃機
冷や麦をゆでる八月平和とはわたしでいること家系図途絶えて
おっぱいが佐賀平野のような乳がんは心は胸のふくらみの中
誰に傷つくか何に傷つくか競馬場の中走る牝馬
「女」という身体を持った苦痛、苛立ち、不甲斐なさのみならず、現代という時代の生きづらさ、息苦しさを鋭利な刃物で切り裂くように残酷に。
またあるときは、やるせなさの先に垣間見える怒りを淡々と。
そしてまたある時は、胸の内に燻る心細さや不安を繊細に詠む。
あなたの心に棘刺す短歌集。
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