【六本木ホラーショーケース -ARTICLE-】#031 ジャンル的表現とは異なる『終わりの鳥』の恐怖
“活きのよいホラー映画、ご紹介いたします”
【六本木ホラーショーケース】
六本木 蔦屋書店映像フロアがお贈りするホラー映画紹介プログラム。
ホラー映画を広義でとらえ、劇場公開作品を中心にご紹介し、そこから広がる映画人のコネクションや文脈を紐解いていきます。
ホラー映画を広義でとらえ、劇場公開作品を中心にご紹介し、そこから広がる映画人のコネクションや文脈を紐解いていきます。
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今回ご紹介するのは、『終わりの鳥』です。

(C)DEATH ON A TUESDAYLLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024
『終わりの鳥』
2024 | 監督:ダイナ・O・プスィッチ
2024 | 監督:ダイナ・O・プスィッチ
六本木ホラーショーケースという企画ではありますが、本作『終わりの鳥』は狭義のホラー映画ではございません。
しかし、間違いなく“恐怖”という感情に関する作品であり、その本質に迫っております。
故に、あえてホラーショーケースという文脈で紹介してみます。
しかし、間違いなく“恐怖”という感情に関する作品であり、その本質に迫っております。
故に、あえてホラーショーケースという文脈で紹介してみます。
ホラーでないのであれば、一体どのジャンルの映画なのでしょうか?
オフビートなユーモアが全編に散りばめられているので、コメディと捉えることもできます。
設定や映像表現としてはかなりファンタジーな要素を強く感じるかもしれません。
そして、物語の中心となる母娘に目を向ければ、感動的な人間ドラマが展開されています。
しかし、どれもがこの作品のジャンルを決定付けることはありません。
巧妙にジャンル分けを避けるような漂いの中で物語が進行していきます。
難病を患う少女の前に“死”を具現化したような謎の鳥が現れ、看病をする母と共に貴重な交流が繰り広げられるというお話です。
誰しも人間がいつかは対峙することとなる“死”という現象や概念を、ラップを口ずさむ鳥として具現化することで、その理不尽さや不気味さが際立ちます。
このモチーフがずっと通奏低音のように流れており、様々なジャンルの要素を取り込みつつも、“死”と向き合う人間の根源的な恐怖を感じます。
さらに、物語後半にはとある出来事によって鳥の方の視点から死を迎える人々と向き合うシーンもあり、ゾッとするような瞬間を味わえます。
オフビートなユーモアが全編に散りばめられているので、コメディと捉えることもできます。
設定や映像表現としてはかなりファンタジーな要素を強く感じるかもしれません。
そして、物語の中心となる母娘に目を向ければ、感動的な人間ドラマが展開されています。
しかし、どれもがこの作品のジャンルを決定付けることはありません。
巧妙にジャンル分けを避けるような漂いの中で物語が進行していきます。
難病を患う少女の前に“死”を具現化したような謎の鳥が現れ、看病をする母と共に貴重な交流が繰り広げられるというお話です。
誰しも人間がいつかは対峙することとなる“死”という現象や概念を、ラップを口ずさむ鳥として具現化することで、その理不尽さや不気味さが際立ちます。
このモチーフがずっと通奏低音のように流れており、様々なジャンルの要素を取り込みつつも、“死”と向き合う人間の根源的な恐怖を感じます。
さらに、物語後半にはとある出来事によって鳥の方の視点から死を迎える人々と向き合うシーンもあり、ゾッとするような瞬間を味わえます。
監督のダイナ・O・プスィッチはクロアチア出身で本作が長編初監督となります。
短編などで評価され長編デビューとなりますが、意図的なジャンル的混乱とスマートな話運びの手腕は確かなもので、ただならぬ才能を感じさせます。
このような新人発掘を行うA24はやはり審美眼が備わっているのでしょう。
短編などで評価され長編デビューとなりますが、意図的なジャンル的混乱とスマートな話運びの手腕は確かなもので、ただならぬ才能を感じさせます。
このような新人発掘を行うA24はやはり審美眼が備わっているのでしょう。
【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】

『バーバラと心の巨人』
2017 | 監督:アナス・バルター
2017 | 監督:アナス・バルター
とある概念や感情を具現化し、ファンタジックな映像で表現するという共通点があります。
これらを異世界を舞台にするのではなく、極めてリアルな日常と同居させているというのも興味深いところです。
これらを異世界を舞台にするのではなく、極めてリアルな日常と同居させているというのも興味深いところです。