【POP-UP】Session Press & Dashwood Books in 銀座 蔦屋書店
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銀座 蔦屋書店 BOOK EVENT SPACE(アートブックフロア内) 2024年09月06日(金) - 09月30日(月)
銀座 蔦屋書店では、2024年9月6日(金)から30日(月)まで、NYの写真集出版社 Session Pressとマンハッタン・ノーホーを拠点とする書店 Dashwood BooksのPOPUPを開催します。本展では、Session Pressより新たに刊行される『SOLACE 撫慰 by Wing Shya』、Session PressとDashwood Booksからこれまでに刊行された数多くの作品集、Dashwood Booksオリジナルトートバッグを展示販売予定。さらにDashwood BooksのマネジャーおよびSession Pressのディレクターを務める須々田美和による選書書籍の数々も本人のコメントとともに会場に並びます。
なお会期初日は19:00~同会場にて、香港出身の映画監督兼写真家のWing Shya(ウィン・シャ)による『SOLACE 撫慰』刊行記念サイン会も実施いたします。当日は須々田さんもご来場予定です。この機会にぜひ皆さまのご来場をお待ちしております。
[選書書籍について]
『HARDTACK』Rahim Fortune
¥12,100 (tax incl.)
生まれ育ったテキサスを舞台に、社会派ドキュメンタリー作家として活躍する新鋭作家、ラヒム・フォーチュンの2作目となる写真集。第1作目が、自身の家族を中心に自伝的な内容であったが、本作は、ブラック・アメリカンのコミュニティー全体へ視野を広げた。タイトルの『Hardtack』は19世紀アメリカ南北戦争後にアフリカ系アメリカ人のみで結成された部隊「バッファロー・ソルジャー」が任務の際に食料として持参した「乾パン」を指す。本部隊は、米西戦争など多くの戦地へ赴き勇敢に戦闘しアメリカの歴史に貢献したことで知られているが、その時代とさまざまな価値観の再検証が促される現代の状況を照らし合わし本書のタイトルとした。廃墟となった教会やカーボーイのポートレイト、伝統的なダンスを踊る子どもや、ホーム・カミングのパーティーで自信に溢れた笑みの若者の姿などブラック・アメリカンの文化を伝える写真が、主に右ページ中心に余白の縁を入れてレイアウトされ、一点づつ時間をかけて堪能できる。過去の厳しい歴史から静かに流れる日常の時間と未来への希望を込めた一冊。
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
『WINOGRAND COLOR』Garry Winogrand
¥16,500 (tax incl.)
ニューヨーク生粋の写真家ゲイリー・ウィノグランド(1928-1948)は、60年代前半からストリート・スナップと呼ばれる街頭での撮影を開始し、その後数10年に渡ってアメリカ写真界を牽引した 20世紀を代表する 写真家である。ウィノグランド以前の作家が「正しい構図」や「良き意匠」を重点に写真を撮影したのに対し、ストリートスナップに瞬間的に表れる、人間と人間、人間と動物、群衆とその社会的背景の「抽象的な間合い」に焦点を置き寓意的に捉えたウィノグランドの作品は、新しい写真表現を示唆した。ただ、生前はたった4冊の写真集(『The Animals』(69年)、『Women Are Beautiful』(75年)、『Public Relations』(77年)、『Stock Photographs: The Fort Worth Fat Stock Show and Rodeo』(80年)) しか出版されなかったため、本書発売はコレクターの間で熱い期待が寄せられた。本書を紐解くとマンハッタンの騒々しい街頭や海水浴客で賑わうコニーアイランドを、意の向くままに徘徊し好奇心旺盛な子どものような純粋さでシャッターを切る作家の様子が伝わり、見るものに明るい気持ちを与えてくれる。ストリートフォトの玉珠の一冊。
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
『TOKYO STYLE』都築響一
¥16,500 (tax incl.)
30年以上前に初版が刊行されてから、海外でカルト的人気を誇る『TOKYO STYLE』が今年の夏にスペインのインテリア専門の出版社から再び出版されるというニュースは、海内のコレクターの間で大きな話題を呼んだ。海外の人がイメージする日本を払拭する内容が、本書の人気を紐解く鍵であることが、リアル感満載のインパクトある写真から窺える。近年アメリカで話題の「こんまりメソッド」や、茶道から知られる「侘び寂び」、安藤忠雄の建築に代表されるようなシンプルで洗練されたイメージが通常、日本を連想させる「良き正しく美しい」型にはまった印象の一方で、本書は潔くそれを覆し、ありのままの普通の人々の暮らしを紹介する。それは、周りに気を使い自我をもたず、楚々として、控えめで、消費社会とは縁のない国民性ではなく、実は、購買力と好奇心旺盛で、それぞれに個性を活かし、明るく生活を楽しんでいる生の活力に満ちた日本人の姿を示している。不朽の名作の原点が、同調や惰性ではなく、革新と挑戦であることを再確認できる一冊。
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
『This Train』Justine Kurland
¥24,200 (tax incl.)
2005年から2010年の5年間、幼い息子とアメリカ大陸横断をした際に撮影された本書は、旅の途中で遭遇したアメリカの鉄道と旅に同行した息子のカスパーを大自然を背景に撮影したポートレイトが含まれる。カーランドは実はこれまで同じ題材の写真集を3冊制作している。前作の『Highway Kind』(2016年)『Spirit West』(2014年)『This Train is Bound for Glory』(2009年)が、それぞれに違うタイトルがつけられているように、同時期のロードトリップの作品であっても編集を変え新たな思いを込めて制作されている。本作において主眼をおいたのは、子供と過ごした母親としてのパーソナルな思い出としての記憶と、人新世(アントロポセン)を語る上で欠かすことができない「鉄道」の誕生と、「鉄道」が象徴する暗いアメリカの歴史(中国からの移民者が19世紀において鉄道の設立のため強制された不当な扱いや、差別、労働条件)について作家として検証することである。スパイラル綴じの横長の装丁で厚紙が使用された表紙から一見、個人的な記録を収めた家族のアルバムのように見受けられるが、前作の『SCUMB Manifesto』でフェミニズムであることを主眼とした作品と同様に、社会的な問題に鋭い視座を向けた1冊と言える。
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
ご購入はこちらから:https://en.store.tsite.jp/item-detail/art/40145.html
文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
ご購入はこちらから:https://en.store.tsite.jp/item-detail/art/40145.html
『The Last Safe Abortion』Carmen Winant
¥12,100 (tax incl.)
アメリカを代表するフェミニストの若手現代アーティストの一人としてMoMAやホイットニー美術館などで活発に展示活動を行うウィナントの最新作。第1作目の『My Birth』で妊娠を主題にしたが、本作で「中絶」を取り上げ今年のアメリカ大統領選の争点となるトピックに挑んだ。実は、アメリカ全土で女性が中絶できる権利を持てたのは1973年から2022年のたった49年の間で今では州ごとの法律によって中絶は禁止される事態に陥ったことと、中絶反対運動において、いかに「中絶行為」が惨たらしく、倫理観に欠け残弱で不道徳であるかを説くために恣意的にヴィジュアルを使いデモが行われていることに対するアンチテーゼとして本書は制作された。ミネソタ、アイオワ、ネブラスカや作家の自宅のあるオハイオ州の公共機関の資料や自身が撮影した写真を含め、実は「中絶」という現場が、日常的に平和で安全で人道的であることを提示し、ビジュアルの持つ力を再認識することを促す一作。文:須々田美和(Dashwood Booksマネジャー/Session Pressディレクター)
[プロフィール]
撮影:森山綾子
須々田美和︱Miwa Susuda
2006年よりDashwood Booksのマネジャー、Session Pressのディレクターを務める。2021年より、ニューヨークのPenumbra Foundationでワークショップの講師、Parsons School of Designの写真学部のポートフォリオレビューのアドバイザー、2022年度のThe Paris Photo–Aperture Foundation PhotoBook Awardの審査員を務める。
2006年よりDashwood Booksのマネジャー、Session Pressのディレクターを務める。2021年より、ニューヨークのPenumbra Foundationでワークショップの講師、Parsons School of Designの写真学部のポートフォリオレビューのアドバイザー、2022年度のThe Paris Photo–Aperture Foundation PhotoBook Awardの審査員を務める。
Instagram:@miwasusuda
Session Press
2011年よりNYを拠点に始動した写真集出版社。日本と中国の気鋭の作家を中心に海外へ向け写真集を制作するのみならず、大学や美術館でのアーティストトークや講演、ニューヨーク・アートブックフェアやロンドンやパリの写真展にも参加し、日本と中国の気鋭の作家の写真集を広く海外へ紹介することに努めている。岡部桃『バイブル』『ディルド』と横田大輔『垂乳根』は、オランダの写真美術館、FOAMからPaul Huf Awardを受け、同美術館で展示会を開催する快挙を成し遂げる。セッションプレスの全ての写真集は、テート・モダン美術館、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、サンフランシスコ近代美術館、ニューヨーク公立図書館に所蔵されている。
2011年よりNYを拠点に始動した写真集出版社。日本と中国の気鋭の作家を中心に海外へ向け写真集を制作するのみならず、大学や美術館でのアーティストトークや講演、ニューヨーク・アートブックフェアやロンドンやパリの写真展にも参加し、日本と中国の気鋭の作家の写真集を広く海外へ紹介することに努めている。岡部桃『バイブル』『ディルド』と横田大輔『垂乳根』は、オランダの写真美術館、FOAMからPaul Huf Awardを受け、同美術館で展示会を開催する快挙を成し遂げる。セッションプレスの全ての写真集は、テート・モダン美術館、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、サンフランシスコ近代美術館、ニューヨーク公立図書館に所蔵されている。
Dashwood Books
2005年のオープンから現在に至るまで、マンハッタン・ノーホーを拠点に、世界中のクリエイティブにカリスマ的な存在感を放つ書店。長年マグナム・フォトに勤めていた店主の審美眼でセレクトされた世界中の写真集が揃っている。自費出版本から大物写真家のレア本まで、店内に並ぶ4000冊以上の写真集は幅広く、かつ奥深く玄人も唸らす品揃えは定評が高い。グッチやカルバンクラインなど多くのブランド・企業とコラボをしサイン会やコンサルティング業も兼ねる。2008年より出版部門を始動させ、若手アーティストから大御所の写真集まで制作し人気をさらに不動なものとしている。
2005年のオープンから現在に至るまで、マンハッタン・ノーホーを拠点に、世界中のクリエイティブにカリスマ的な存在感を放つ書店。長年マグナム・フォトに勤めていた店主の審美眼でセレクトされた世界中の写真集が揃っている。自費出版本から大物写真家のレア本まで、店内に並ぶ4000冊以上の写真集は幅広く、かつ奥深く玄人も唸らす品揃えは定評が高い。グッチやカルバンクラインなど多くのブランド・企業とコラボをしサイン会やコンサルティング業も兼ねる。2008年より出版部門を始動させ、若手アーティストから大御所の写真集まで制作し人気をさらに不動なものとしている。
Instagram:@dashwood_books
- 会期 2024年9月6日(金)~9月30日(月) ※最終日は17時まで。会期は事前の予告なく変更となる場合があります。
- 場所 銀座 蔦屋書店 BOOK EVENT SPACE(アートブックフロア内)
- 主催 銀座 蔦屋書店
- 協力 Session Press、Dashwood Books、twelvebooks
- 問い合わせ先 03-3575-7755