【インタビュー】銀座の「粋」を和菓子で体現!
一幸庵店主 水上力さん

現代の和菓子職人として、国際的かつ、多岐にわたる活動を精力的に行っている一幸庵店主の水上力 (みずかみ ちから) さん。
今回、銀座 蔦屋書店との限定コラボレーションが実現したことを機に、インタビューに応じていただきました。

 

 

-当初、今回のコラボレーションの話を聞いた時率直にどう思われましたか?
場所が「銀座」なので、商品として特別なことをしたい、という思いがありました。そこで、売り方を銀座でなければできないようなものにしようと考え、あの横長の箱に辿り着きました。

-確かに、あの箱は和菓子の概念から飛び出したものですね。
銀座だから、「買う」「売る」というより「どうやって遊んでもらおう」と考えました。
あの特別な形態の箱で、お客様が「こんな手土産の形もあるんだ」と感じたり、逆にお客様の方から「こういう買い方はできる?」と尋ねてもらったり。そういう、遊びのある商品にしたかったんです。

-なるほど。銀座の「どこか遊び心のある粋な感じ」を、この商品で打ち出したかったんですね。
そうです。お菓子を受け取った人も一緒に面白がってくれることを想像しながらね。横に長い箱を持ちながら、「すみませんお菓子通りまーす!」なんてのが面白い。銀座の「粋」を体現したかったんです。

 


銀座 蔦屋書店とのコラボレーション商品。
詰める商品数により大きさは変わり(全3種)、最大で幅約76cm!

 

-その中でも、コラボレーション商品が最中と麩焼になったのは、どういう経緯でしょうか?
日持ちの面と、持ち運びの両面を考慮して、この2商品に決めました。

-では、麩焼の味が生姜味になったのは、なぜでしょうか?
試作品の段階で、醤油や抹茶、黒砂糖など、色々用意した中から、銀座 蔦屋書店さんに選んでいただきました。

-一方で最中は、食べる直前に皮と餡を合わせて頂く麻布最中を採用されていますね?
一幸庵では、最中は二種類あります。食べる直前に皮と餡を合わせて頂く麻布最中は、麻布で店を構えていた際、考案したものです。皮のパリパリ感と、餡とのマリアージュをお楽しみください。

-最初はこの2種類の組み合わせのみでしたが、上生菓子の詰め合わせも可能になりました。
はい。お客様の遊び心で自由にお菓子を組み合わせていただければと思います。


上生菓子の詰め合わせイメージ。
時節にあった生菓子を、最大11個まで詰めることができる。

 

-銀座 蔦屋書店では、書籍『IKKOAN』も販売しています。
七十二候を体現する72の和菓子を、5年の歳月をかけ、ボツ案含め400近い作品を作られたそうですが、その中でも一番思い出深い作品は何か教えてください。
全て思い出深い作品ですが、蟷螂(「蟷螂生」:6/5~6/9)や鮭(「鮭魚群」:12/16~12/20)は、特に思い出深いですね。結局、納得いかずに5~6は回作り変えて…劇的に形を変えました。「地始凍」は、アートディレクターの川腰さんからの提案があり生まれた作品です。

 


「蟷螂生」(かまきりしょうず)


「鮭魚群」(さけのうおむらがる)

 

-「地始凍」も、その想像力と表現力に心から感激しました。「夏風至」や「腐草為蛍」も素晴らしい。本当に多くの作品を作って、撮影して、を重ねられたんですね。
そうですね。徹夜して作品を作って、朝、出来上がったものを渡して、スタジオで撮影し、出来上がったイメージが戻って来て…暫く経ってから「やっぱり作り直そう」となったりね。

-撮影には参加されなかったんですか?
一番最初だけ参加しました。そこでイメージとして出来上がってきた「腐草為蛍」を見た時に、「私が口を挟むより、彼らに任せた方がいい」と感じました。そこから、撮影はお任せすることにしたんです。

 


「地始凍」(ちはじめてこおる)


「腐草為蛍」(くされたるくさほたるとなる)

 

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>>書籍『IKKOAN』のご購入はこちらから

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-最後に、一幸庵さんの最新作のお話を伺ってもよろしいでしょうか?
来年、新刊を出す予定です(2018年1~2月刊行予定)。尾形乾山が制作した素晴らしい皿や器に、私が作った和菓子を乗せ、一つの作品にしたページもあります。ご期待ください。

-新刊が発売された折には、銀座 蔦屋書店で刊行イベントを開催したいです!今回は本当にありがとうございました。

 

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10/26(木)公開しました!
書籍『IKKOAN』の製作エピソードについて、
企画発案/クリエイティブディレクションを担当された南木隆助さん、アートディレクターの川腰和徳さんへのインタビューで掘り下げています。
かなりのボリュームでお届けしておりますので、ぜひこちらもご覧ください!
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【プロフィール】
水上 力 (みずかみ ちから)
1948年東京生まれ。京都、名古屋での修業を経て、1977年に「一幸庵」を創業。
「エコール・ヴァローナ東京」や「ジャン・シャルル・ロシュー」など大手メーカーやショコラティエとコラボ、イタリアの食の展示会「ルレ・デセール・インターナショナル」でのデモンストレーションなど、国境を越えて和菓子の魅力を伝えている。

一幸庵 (いっこうあん)
東京都文京区小石川5-3-15
東京メトロ丸の内線茗荷谷駅から徒歩5分

取材撮影・構成・文 : 銀座 蔦屋書店 石谷

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