【インタビュー】山口晃×銀座 蔦屋書店限定コラボレーションの裏側に迫る!
グッズ製作者・アートコンシェルジュ蛭田

美しい線に鮮やかな色彩、そして時折くすっと笑ってしまうような作品を描き出す画家、山口晃氏。
画材として主に油絵具を用いつつも、何度も絵具を薄く重ねて制作する日本画の技法を使い描く事で広く知られています。

「アートのある暮らし」をコンセプトとする銀座 蔦屋書店が、アーティストと共に発信するプロジェクトの第一弾として、アートで西洋画と日本画を繋ぐことのできる稀有な画家である山口晃氏とコラボレーションすることが決定!
早速、今回のコラボレーション秘話を、銀座 蔦屋書店のアートコンシェルジュ 蛭田に伺いました。

― 先ず、今回のプロジェクトの発端を教えて頂けますか?
元々、私が山口さんの絵のファンでもありましたが、銀座 蔦屋書店内でこのプロジェクトの話が持ち上がった際、一番に浮かんだのが山口さんでした。冒頭の紹介にもある通り、山口さんは、アートで西洋と日本を繋ぐことのできるアーティストです。プロジェクトメンバーに提案したところ、賛同を得ることができ、今に至ります。

― 話を山口氏に持って行かれた時の山口氏の反応はいかがでしたか?
「面白いですね。いいですよ」と快諾いただきました。

― そもそも、蛭田さんが山口氏のファンとのことですが、どのように出会われたのでしょう?
初めて山口さんの絵に出会ったのはとあるアート雑誌でした。「すごい!!」と、一瞬で心を持っていかれましたね。それからは、美術展にいったり、図録を眺めたりしていました。加えて、山口さんは話すのもお上手で、講演会やメディアで活躍している姿もよくお見かけしていました。その為、「話し方が穏やかで、優しい感じの方」ということも知っていましたし、実際、直接お会いした時も、メディアで受けた印象そのままの方でした。

― では、今回のプロジェクトはかなり力が入ったのでは?
そうですね。どのグッズも非常にこだわって作りましたから、きっと山口晃ファンの方にも喜んでいただけると思います。

― こだわった分、ご苦労もあったことでしょう。いくつかエピソードを教えていただけますか?
トートバッグは、「A4サイズのものも入って使いやすく、かつ格好よく。とにかく普段使いしていただけるように」と考えました。ただ、A4サイズのトートを作ると生地の余りがかなり出るんです。制作いただいた企業担当者からは、「蛭田さん、このサイズだと裁断した際にこんなにも生地が余ります。少しサイズ変更を考えてみてはいかがでしょう」と、何度も打診されましたが、断固としてサイズ感は譲りませんでした。また、中のポケットは山口さんの案で、サイズはスマートフォンが納めやすいサイズがいいかと思い、私が決めました。


トートバッグ。シンプルで普段使いに取り入れやすい。

― A4サイズが入るか入らないかは、割と分かれ目ですよね。
そうですよね。あとは、取っ手は腕が痛くならないよう、太めにするなどのも工夫しました。

― その他にもオススメのグッズがあるとか?
懐紙です。「懐紙というのは通常、激しい色遣いをしないものがほとんどです」と制作企業担当者から言われましたが、「この発色で、柄が「バン!」と入っているものが欲しいんです!」と、無理難題を聞いていただきました。


懐紙は2種類ある。色遣いが美しい。

― 情熱が伝わってきます。その分、山口氏からいただいた各グッズへのコメントが、端的冷静で面白く感じますね。
私も初めて各グッズのコメントを見た時、「言葉選びが流石だわ!」と、思わず笑ってしまいました。2種類あるピンバッジは、完成時、周りの反応が非常に良くて。特に、女性陣には大好評でした。ところが山口さんのコメントは「使い方がよく分からない」でしたから。これにも皆で笑ってしまいましたね。

― グッズの山口氏の各コメントは、オンラインショップでご覧いただけます。ぜひ全てのグッズのコメントにも目を通していただきたいですね。
はい、ぜひ。
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― 最後に、この取り組みはプロジェクトですので、今後も継続して発信されるかと思いますが、次のプロジェクトは決定していますか?
大きくは2つ、動いておりますが未定です。ですが、今後も継続して銀座 蔦屋書店はアーティストの方とのコラボレーションに取り組んでまいりますので、今後もご期待ください。

― ありがとうございました!


アートコンシェルジュの蛭田さん。
お気に入りの山口晃×銀座 蔦屋書店コラボピンバッジをつけて撮影に臨んでくださいました。

【プロフィール】
山口 晃 (やまぐち あきら)
1969年東京生まれ、群馬県桐生市に育つ。1996年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。2001年第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞。2013年自著『ヘンな日本美術史』(祥伝社)で、第12回小林秀雄賞受賞。2017年桐生市初の藝術大使に就任。
日本の伝統的絵画の様式を用い、油絵という技法を使って描かれる作風が特徴。都市鳥瞰図・合戦図、新聞小説や書籍の挿絵・装画などの絵画のみならず、成田国際空港や大分駅のパブリックアート、富士山世界遺産センターシンボル絵画等を手がける一方で、「山愚痴屋澱エンナーレ」と名付けた一人国際展のインスタレーションなど、表現方法は多岐にわたる。
主な展覧会に、2011年「Bye Bye Kitty!!!」展(ジャパンソサエティ、NY)、2012年個展「望郷TOKIORE(I)MIX」(銀座メゾンエルメスフォーラム、東京)、2013年個展「山口晃展 画業ほぼ総覧 —お絵描きから現在まで」(群馬県立館林美術館)、2015年個展「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城)等。現在、森アーツセンターギャラリーにて開催中の「THEドラえもん展 TOKYO 2017」に参加(2018年1月8日まで)。
近著に『山口晃 大画面作品集』(青幻舎)、『探検!東京国立博物館』(藤森照信・山口晃 共著/淡交社)。

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取材撮影・構成・文:銀座 蔦屋書店 石谷

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